長らくブログを放置してしまいましたが、ここ半年ほど、ゲームを作っていました。
9/28(金) 公開となります。
どういうつもりで作ったかとか、現時点でいただいている反応へのコメントとか、そういうのを書きたいと思います。
もくじ
Solid Aether とは
こういうのです。
ただ、弾幕だけを愛でたくて。
— FAL @ STG制作とアート系プログラミング (@falworks_ja) 2018年8月23日
弾幕以外のすべてをそぎ落としたミニマルなシューティングゲーム『Solid Aether』を作っています。
リリースは9月末に決定しました!
弾丸を並べるだけで無限の多様性が生まれる不思議を楽しんでいただきたいです。
公式サイト https://t.co/AW3xhfCmce#SolidAether pic.twitter.com/3cbhHAwuKK
公式サイト: Solid Aether — FAL Works
トレーラー映像: Solid Aether Trailer - YouTube
Steam: Solid Aether on Steam
ジャンルは弾幕STGというもので、敵が大量の弾丸を放ってくるシューティングゲームです。
画像検索すると分かる通り、花火みたいに派手でカラフルな絵面になるのがこのジャンルなんですが、それを白黒でミニマルテイストな感じでやろうとしたのが今回の Solid Aether です。
なぜ作ったし
なぜ弾幕STGなのか
私たちは、秩序から始めてカオスを目指し、どちらかの方向に迷い込まないよう気をつけながら、機械的なものを使って有機的なものを作ることを試みます。
―― マット・ピアソン『ジェネラティブ・アート』
「単純な要素と規則から複雑な構造物が作られている」
そういう状態を美しいと感じる人が一定数存在すると思います。
- あらゆる物質が原子の組み合わせからできていると知って、どんなにワクワクしたことか!
- 的確に分割された無駄のないソースコードのなんとエレガントなことか!
- ライフゲームやアトラクターやフラクタルなど、単純な規則の世界がいかに豊かな複雑性を見せることか!
(ライフゲームは以前かるく記事をかきました。アトラクターというのはこういうのです。)
そして弾幕STGにも、同じ側面があると思いました。
放たれる無数の弾丸、その一個一個は単純な動きしかしないにも関わらず、全体として織りなすパターンの多様性は驚くばかりです。これがアートでなくて何だというのでしょうか!
この弾幕を、見たり遊んだりするだけでなく自分でも作ってみたい。
そういう思いがずっと前からありました。
ついでに、これを自在に記述できる弾幕記述言語というのを作ってみたくて(BulletMLの影響)、それも今回チャレンジしました。その話はまた別途。
なぜ白黒ミニマルテイストなのか
上に書いた「単純な要素の組み合わせでいろんなパターンができる」というのを強調したかった。
そのため、弾丸の配置と動き以外のバリエーションを極力抑えるべく、
- ザコ敵や弾丸のグラフィックは黒一色、形状も一種類だけ
- 背景グラフィックなし
- エフェクトも少なめ
としていたら、こうなりました。
あとシステム面も同様で、一般的には
- 複数の攻撃手段
- アイテムでパワーアップ
- 緊急回避用のボム
- 得点アイテム
とかがあったりしますが、それらも削りました。
もう一つは、単にこういうミニマルなデザインが好きなので。
(一般的なSTGの感じも好きですけどね! それはまた別)
何もない空間で何もせず休んでいたいという欲求が割とあって、そういう空間が欲しかった。
その割に弾幕などという別方向の存在を入れるのは矛盾してる気もしますが、まあほんとうに何もない空間だと退屈なので弾幕くらいあっても良いでしょう。(苦しい)
あと最後の理由としては、今後あわよくばゲームを複数作っていきたいので、一作目はその原点となるようなシンプルなものにしたかった、というのもあります。
現時点(公開前)の反応
難しそう
これははっきり言っておきたいのですが超かんたんです。*1
いや、そこそこ慣れてないとノーミスは厳しいと思いますが、かなり回復しまくるのでなかなかゲームオーバーにはならないという感じ。
ゲームオーバー画面など一度たりとも見たくないという軟弱な貴方に!(わたしです)
※ ほんとうに初心者だと一発クリアできない可能性は十分ありますが、それでも何度かやればなんとかなるレベルなのではと思っています。
基本的には低速で、必要なときだけちょっとずつ動こう! なにか攻撃が向かってきたらとりあえずちょっとだけ動こう!
むしろうまい人はがっかりするのではという懸念がある。
もちろん、勝てるかどうかギリギリのところを切り抜けてヤッター! ってなるのゲームの醍醐味の一つだと思いますし、「上達」を感じられる難易度の設計とかすごく奥が深いと思うんですが、今回に関してはそれは重視していなくて、気楽にダラダラ遊んでもらえれば、という感じです。
値段いくら?
$6.99、Steamで日本円で買うと720円(発売時はセールでもっと安い)になります。
(itch.ioだと日本円はたぶん為替レート次第)
値段決めるのって難しくないですか?
決め方をそれなりに調べたんだけどどうにも分からない。
この価格帯がおそらく悪手であろうことを示す情報がいくつかあったので不安に思いつつも、とりあえず今回はこの値段です。
ついでに中身のボリュームですが、一通り遊んで30分くらいです。
東方の整数No.の表(Extraじゃないほう)がだいたいそれくらいだったと思いますが、Solid Aether の方は自機や難易度が一種類しかない、やり込み要素もそれほどない、それを考慮すると、東方よりだいぶ小さいゲームと言えます。
前半だけ遊べるやつを体験版として出すつもりなので、迷う方はそちらで!
私も東方製品版が買えなかった頃は体験版ばかり遊んでいたものです。
弾幕だけと言いつつBGMもいいじゃん
けっこうBGMに依存したゲームですね。(楽曲提供者に感謝!)
曲をいくつも入れて全体的にはとっちらかっているので、そこはミニマルとは言いがたいです。
ステージごとに変えたかったので。
波粒だ!
真似したわけではないんですが全方位弾を揺らすと波粒を想起させてしまうあたり、影響力の強さがうかがえますね。
あれは確かにすごい、形状の面白さと、現代物理学を踏まえたネーミング、使用者のキャラ設定、全体の世界観、すべてがつながって大きな世界を作っている。
(波粒というのはこれです→ 【東方文花帖】境符「波と粒の境界」 - YouTube)
純狐だ!
直接関係はないけど確かに自分でも思いました。なので「純粋な弾幕!」みたいな文句が使えなかった。(一応→ 純狐とは (ジュンコとは) [単語記事] - ニコニコ大百科)
何が純粋で何が無駄かというのはちょっと難しくて、というかすごく文脈依存なので、一般的なSTGには無駄が多い! なんて主張するつもりはないですよ!
実際、弾丸を単色にしたことによる制約は思った以上に大きかった。色が複数あると「層」で認識できるから全然違ってきますよね。グラフィックや音などの演出の影響もすごく大きいし。
ABA Games だ!
その通り、まさに ABA Games さんのアブストラクトな作風が好きで、ちょっと方向は違いますが自分もアブストラクトな感じで何か作ってみたかったのです。
特にNoiz2sa!(今のPCだと動かないかもだけどChrome版があるよ! と書こうとしたんですがストアで見つからない、もしかしてもう消えちゃったんでしょうか……? )
あと白黒ミニマルなやつでYarhallaさんのboidtrancerもすごい好き、完璧じゃないですかこれ?
スマホ版/Mac版でる?
正確な日付は未定ですが、出ます。ターゲットとして iOS / Android / MacOS を考えています。
Linuxやコンシューマ機も行けるらしいという情報があるんだけど1ミリも触ったことないからな、そのへんはおいおい確認します。できるなら、売れるかはともかく経験としてやってみたい。
スペックが足りるか不安
確かにPCによっては(ノートPCとか)、動作がもたつくかもです。
最近マニュアル(英語)にも書いたんですが、
- 設定画面で画面を小さくしたり(左右のスペース無駄なのでそれを切り落とす感じです)、FPSを落としたりして負荷を軽減できます。
- ギリギリスペックだと、裏で余計なプログラムが動いてるのがけっこう影響することがあるのでそのへん確認を。
私も5年前のノートPCなのでけっこうギリギリなんですよね、せめて自分の環境では万全にしろよと自分でも思うんですが、みんなもっといいの持ってるかなって……スミマセン……
30FPSでも良ければたいていのPCでは大丈夫だと思うんですが、あれでしたら、そのへんも体験版にて。
最悪、内部で解像度別の画像を用意して低解像度に最適化したモードとか付けることもできますが、今のところまだ予定していないです。
他
今回、好きなものを好きなように作りたいという欲求からゲームを作りましたが、同時に、ゲームの開発から販売までの流れを今後の制作のために一通り体験したいという目的もありました。
何もかもが初めてだったので、落ち着いたら、振り返りとか得られた知見とかをいろいろまとめて公開したいと思います。
リンク
以下から購入できます。ご興味あればぜひ!
*1:本当~に個人差あるので、「かんたんです」ってはっきり言っちゃいけないかもしれません……! 少なくとも同ジャンル中で比較的簡単、というのと、成功しているかはともかく得意じゃない人にも楽しんでほしいという想いがあることだけは事実です。